※R18
※異物挿入、擬似出産、淫語
俺がこんな感情を持っていることは何か間違ってると思うし誰にも言うつもりはなかった。だけど同性という壁を乗り越えアーサーと菊が結婚して三人で一緒に暮らしはじめて、俺が菊をお母さんみたいに思うようになったのは否定できない事実だった。そもそも菊は男だし、おかげでアーサーと結ばれるまでひと悶着もふた悶着もあったわけで、それを一番近い俺が知らないはずはないんだけど、菊は本当に優しいし、アーサーや他の男どもと違って男特有の荒っぽさっていうのかそういうのが全然なくて、いつも穏やかでふんわりしてて、料理とか洗濯物とかのいい匂いがして、俺たち兄弟は物心ついたときには両親を亡くしていたから余計にそういう、母親に対する憧れみたいなものが強くて、菊にそういったものを求めてしまってたんだと思う。きっと菊もなんとなく察してくれていたんじゃないだろうか。菊に小さい子供みたいに甘やかされると俺はもうガキじゃないんだってば!って口ではそう言っても実はちょっと嬉しかったりしてたんだ。俺には兄という後ろ盾があったけれどそれでも子供時代欠けていた何かを今になって取り戻しているようですごくすごく、幸せな日々だったんだ。だから俺もいつか菊みたいな恋人を見つけて、結婚して、幸せな日々を送りたいと夢見てたんだ。その夜が来るまでは。
俺は隣室から漏れてくる声で目を覚ました。俺もそういう年頃だから何をしてる声なのかはすぐにわかった。何と言っても二人は新婚だ。それに、菊の前じゃあまり大きい声では言えないけどアーサーってすごくスケベだし、多少の声は仕方がないと諦めている。いちいち騒音を訴えるのも野暮ってものだ。俺は気にしないでさっさと寝直そうとした。でもその声がなんていうのか、尋常じゃないっていうか。気になって壁に耳を押し当てると泣いてるみたいな菊の声が嫌ですって言っていた。嫌です、こんなのは嫌です、お願い、もう許してって。その瞬間、俺は今まで想像もしていなかった不安に襲われた。もしかして菊は俺にそうと感じさせなかっただけで本当はアーサーとうまくいってないんじゃないかって。だけどもしそうだったとしてもこればっかりは二人の問題だ。俺が口出しできるようなことじゃないのはわかっている。それでも菊の泣き声がどうしても耳について離れなくて、このままじゃ全然眠れそうになくて、だから一目だけ。菊がひどい目に遭っていないか、それだけ確認しようと思ったんだ。俺はそっと部屋を抜け出して、二人の寝室のドアの前に立った。もし俺の考えすぎだったら二人には悪いなあと思いつつ指一本分ほどのドアの隙間から部屋の中を覗く。でもその隙間からはベッドの端っこしか見えなくて、ただ菊の声がさっきよりはっきり聞こえるようになっただけだった。そして同時に、アーサーの声も。「別に、お前を選んだことを後悔しちゃいねえよ。ただ、子供が欲しかったなあって…お前も思うだろ?」「だから真似事だけでいいから俺の前で産んで見せろよ」「まずはお前のおま○こに俺が種付けしてやるからさ」それらの言葉だけでアーサーが無茶なことを菊に要求しているのは充分にわかった。その直後、ベッドの激しい軋みが俺の耳に届く。力で捩じ伏せられたんだろう菊は「やっやめっ!やめてくださッ…いやあッ!もういやあッ!許してッ!もう許してッ!いやあああッ!」と拒絶の声をひたすらあげ続け、俺は可哀想で耐えられなかった。けれど俺はどうしたらいいんだろう。菊にひどいことをするのはやめてくれって今すぐ割って入るのは容易い。だけどそんな恥ずかしいところを俺に見られた菊はもう今まで通りに俺と口を利いてくれない気がする。だったら今じゃなく、アーサーと二人きりのときに言うのがいいんじゃないかとも思う。俺はこういう、痴情のもつれっていうのか、経験がないからどうしたらいいかまったくわからない。どれが正解なのかも全然選べない。何より俺は正直ショックだったんだ。アーサーがいくらちょっとヘンタイだからって、菊にこんなことしてるとは思わなかった。普段の二人は本当に仲がよくて、素直じゃないアーサーがうまく好きだって言えなくて回りくどいことしてると菊はちゃんとアーサーの気持ちを汲み取って存じておりますよアーサーさんってとても嬉しそうに笑うんだ。横から見てるとよくわかる。菊は間違いなくアーサーを愛してる。アーサーも菊を愛してる。それは絶対確かなんだ。なのに、夜はこんなことになってるなんて。そのとき「ひあッあぁあアアッ」って甲高い菊の声がして、「ほら、俺の精子がお前のおま○こから子宮に入っていったぞ?そろそろ受精したか?」なんて満足そうなアーサーの声も聞こえるけれど、ぐっちゅぐっちゅと粘着質な水音はいまだ絶えない。おそらくアーサーが菊のその…お尻の穴に指でも突っ込んでるんだと思う。菊には存在しないはずの子宮の奥まで精子を送り届けるように、何度も何度も。「じゃーん、次は俺たちのベイビーだ」「お前が悪いんだ、俺の子供を孕んでくれないから」「仕方ないから用意してやったんだ、喜べよ」アーサーが次に何をしようとしているのか、声だけでは予測することができない。俺はもう少しだけドアの隙間を広げた。家具の陰にアーサーや菊の姿はよく見えないけどアーサーらしき手に白いぬいぐるみが握られているのが見えた。アーサーはそんなものを菊に突っ込もうとしているのか?そんなこと、異常だ。まともな神経じゃない。なのに手のひらサイズの可愛らしいうさぎのぬいぐるみはすぐに見えなくなって、菊の声がひしゃげたみたいなひどい声で「ッぐ…ひいいッ!ああッ!ンンンッ!ヒアッ!ヒイッ!イアアアッ!」って悲鳴をあげた。どうやら俺の予想通りのことが繰り広げられているらしかった。あんなものを強引に突っ込まれたら裂けてしまうじゃないか。その痛みを想像したら俺の尻まで痛んできそうだった。可哀想な、可哀想な菊。どうして俺の大事な菊が男だからってこんな目に遭わなきゃいけないんだろう。どうしてアーサーは大事な菊にこんなことを強いるんだろう。俺にはさっぱり理解出来ない。「ほら、産めよ。産んでみせろ、俺たちの可愛いベイビーだろ?」アーサーは菊のどこか素肌を叩いて促しているつもりらしい。ぴしゃぴしゃと叩いてる音がする。さっき見えたぬいぐるみは柔らかい毛に覆われてて滑りも悪そうだった。そんな風に言われたって無理に決まってる。まもなく「ひぐッ、う、ううっ、あッ、ンン…!」と苦しげな菊の声が聞こえてきた。どうして、どうして菊はアーサーの言いなりになるんだろう。こんな、こんなひどいことされてるのにどうしてアーサーなんかを愛してるんだろう。「ああ、やっと頭が見えてきたぞ。ほら、可愛い耳が出てる。触ってみるか?はは」アーサーはどうしてこんな状況で笑っていられるんだろう。俺は、俺はどうしたらいい?俺は菊を助けてあげたい、でも菊に嫌われたくない。「いいぞ、胴体も出てきた。その調子だ」菊の声はなおも苦しそうだった。俺は、俺はどうすれば?「よしもういい、あとはパパが引っ張りだしてやろうな。俺たちのベイビーの誕生だ」アーサーの高笑いと同時に「ひいッ!ぎィッ、アアアッ!イッ、ひいいいぃッ!」と最後の悲鳴が聞こえた。出産の真似事とやらは済んだのかもしれない。あとは菊のはあはあと苦しそうな呼吸と、アーサーの笑い声だけが聞こえる。菊はどうして逃げない?おかしい。二人とも、おかしいんじゃないか?俺はその場に立ち入る気などもう失っていた。もうどうでもいいから部屋に帰って休みたい、明日になったらこれは全部悪い夢だったって思いたい。そのうち再び激しいベッドの軋みが響きだしてどうせアーサーがセックスを再開したんだろうと俺は別の世界のことにように受け止める。俺はもう一刻も早くそこを立ち去ろうと決めていた。そこへ、それを許さない悪魔の声がする。「…なんだアルフレッド、最後まで見ていかないのか?」アーサーだった。アーサーは最初から俺がここにいることに気づいていた?それなのに何故あんなことをした?俺に見せつけるため?「そんなとこ突っ立ってないで入ってこいよ、見たいだろ?」俺は、俺はアーサーの誘いなんて無視して部屋に帰りたかった。なのに、足が動かない。それどころか足が勝手に部屋の中へと進んでいくんだ。アーサーが悪い魔法を使って俺の体の自由を奪ったみたいに、全身精液にまみれて仰向けで大きく足を開いてアーサーの性器を深々と受け入れて、お尻から精液を溢れさせてる菊が見渡せる位置まで俺の足は勝手に俺を連れて行くんだ。見たくない、こんな二人なんか見たくないのに。ベッドの上には粘液にまみれたぬいぐるみがもうどうでもいいみたいに転がっている。アーサーはついさっきまでこれを俺たちのベイビーって言ってたのに。菊は俺がいることもわからないみたいに喘ぎ続けていた。意味を成さないような声ばかりで、こんな行為で快感を得ているのは菊の勃起した性器を見るまでわからなかった。菊は、こんなことが気持ちいいのか?「これでわかっただろ?菊はな、あんな異常な行為で感じちまう変態なんだよ」アーサーは自慢の玩具を誇らしげに見せびらかす悪ガキみたいな顔をしている。「おい、いつもみたいに得意のおねだりをしてみろよ」アーサーが菊の太ももをぴしゃりと叩くと、「あンンッ!アーサーさんのおち○ぽ、太くてッ!ああッイイッ!気持ちイイんですッ!もっとッ!もっと突いてッ!奥がいいッ!おま○この奥がイイんですぅッ!」俺は耳を塞ぎたかった。さもなくば両耳を切り落としたかった。こんなのは、こんなのは菊じゃない。俺の大好きな菊はこんな生き物じゃない。「アルフレッドにおねだりは?アルフレッドのち○ぽ見たことないのか?こいつのは俺より長いんだ、奥までずっぽり咥え込んでみたいだろ?」延々卑猥な音を響かせて律動を止めないままアーサーは舌なめずりをする。今のアーサーからそんな風に言われると俺の性器が穢されたような気分になって不快なだけだ。だけどとろんとした目の菊はそれを聞いた途端に俺に熱いまなざしを向けてくる。「はヒッ!ヒアアッ!アルフレッドさんの若い勃起ち○ぽッ!あはッ!舐めたいッ舐めたいですッ!」「舐めるだけじゃ足りないだろ?」「あンッ足りないッ!全然足りないですッ!私の淫乱おま○こにズブズブ突っ込んでッ!ひィん!イイところいっぱいッ!あふッ!ぐりぐりしてもらいたいんですぅッ!」菊もまたアーサーの悪い魔法にかかったみたいに次々といやらしい言葉を口にする。そうだ、全部アーサーのせいなんだ。「それで中にたっぷり精液出してもらいたいんだよな?」「はヒッ!はいいッ!精子いっぱいッ!私の中にッ!あンッ!」「で?」「孕みたいんですッ!赤ちゃんほしいッ!アーサーさんの子供もアルフレッドさんの子供も孕んで産みたいんですぅッ!子種ッ子種欲しいッ!出してッ中に出してえッ!」違う、聞くな。これは全部、アーサーのせい。ずくりと体の奥から何か熱いものが湧いてきて、ひとつの欲求が俺を責め立てる。それも全部、アーサーのせい。俺は菊みたいに負けたりなんかしない。「俺は違う!違うんだ!」振り切るように叫んで俺は金縛りからようやく逃れて俺は二人の寝室から飛び出した。真っ暗な自分の部屋に戻って布団を被って耳を塞ぐ。暗い暗い光のない夜の世界。もう俺の大好きだった二人はいない。いるのは悪い魔法に取り憑かれた汚くて醜い、大人の二人だけ。
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